(ネタバレ)『サイレントヒルタウンフォール』クリア後に読むネタバレ解説【SILENT HILL: Townfall】

(ネタバレ)サイレントヒルタウンフォールクリア後に読むネタバレ解説【SILENT HILL Townfall】

先に言っておく。この文章は、クリア後か、どうしても先に知りたい人向けだ。序盤の雰囲気も、中盤の切り替えも、終盤の正体も、エンディングの分岐も書く。まだ霧の中を歩きたい人は、ここで閉じたほうがいい。

自分はデラックス版の先行プレイから本編まで通しで遊んだ。初回はおよそ13時間。謎解きで止まった時間を入れると、もう少し長い。シリーズを長く遊んできた人間として正直に書くと、怖さの質は『2』の罪悪感に近く、社会の構造そのものを相手にしている点では『f』とも違う。個人の罪だけでなく、「町が企業に飲み込まれる過程」が霧の形をしている。

どんな作品か

舞台は1996年、スコットランドの架空の孤島セントアメリア。実在のセント・モナンズをモデルにした漁村で、灰色の海と低い空、風化した看板、停電した家が並ぶ。開発はグラスゴーのScreen Burn(旧No Code)。シリーズ本編としては初めて、全編が一人称視点になる。

主人公はサイモン・オーデル。海から上がってきた時点で、腕には点滴のチューブが刺さっている。名前はリストバンドに書いてある。町には人の姿がない。代わりに、ポケットテレビ(作中ではCRTV)から声が聞こえる。一方は看護師のゾーイ・エリス、もう一方は禿げた男・リチャード・ショーだ。

操作はサイモンだけではない。章が進むとゾーイ、さらにリチャードの視点に切り替わる。シリーズ本編でここまで明確に複数主人公を行き来する作品は初めてに近い。同じ町を、別の人間の足と別の罪悪感で歩くことになる。

【SILENT HILL Townfall】
【SILENT HILL Townfall】

戦闘は主軸ではない。板やパイプで殴れるし、後半は拳銃やショットガンも出る。だが弾は少なく、武器は壊れ、敵の聴覚は異常に鋭い。基本は隠れる、ドアを閉める、CRTVで壁の向こうの気配を見る。霧の中を走るより、息を殺して待つ時間のほうが長い。

プレイ時間の目安は初回10〜14時間。エンディングは通常3種、ニューゲームプラス限定のネタエンディングが2種、合計5つ。収集物(作中ではDiscoveries)と撃破数のバランスで通常エンディングが決まり、いわゆる「途中の二者択一」ではない。

始め方と序盤の歩き方

最初にやることは派手な戦闘ではない。海から上がり、岸壁を歩き、誰かの家に入ることだ。

序盤で意識したほうがいいことは少ない。

  • セーブは公衆電話や家の電話。回数制限はないが、場所は限られる。詰まったら戻れる位置をこまめに残す
  • 懐中電灯は単三電池と合成する。暗い室内が多いので、早めに用意する
  • ガーゼ、空の点滴バッグ、輸液は拾ったら合成しておく。回復手段は多くない
  • CRTVはただのラジオではない。チャンネルを合わせると、次に行く場所の断片映像や、敵の位置が壁越しに滲む。ヒントが欲しいときはまずこれを見る
  • 音を出す行動は全部リスクになる。走る、扉を強く閉める、壊れた床を踏む。しゃがんで視線を切るほうが安全な場面が多い

序盤の拠点は西ショア通りのゾーイの家と、ショアフロントのファミリークリニックだ。電力はプリペイド式のパワーカードで入れる。1996年のイギリスらしい、古臭い家庭用メーターがそのまま謎解きになる。カードを挿し、クレジットを加算し、マスタースイッチを入れる。ここを飛ばすと家の中が真っ暗なまま進むことになる。

臓器輸送箱の暗証は、バスルームで拾う移植カードの番号を前後で分割して入れる。クリニックの受付コードは2896。薬局のロッカーはCRTVに映るポスターから数字を拾う(6539)。どれも「画面の外に答えがある」タイプではなく、部屋の中と映像の中を行き来して組み立てる。

体重計のパズルは、ゾーイの退職願の文言と対応している。

  • 「よく聴いていなかった」→壊れた聴診器
  • 「ミスをして仕事に集中できなかった」→処方ミスのメモ
  • 「もうこの仕事に向いていない」→ゾーイの名札

このあたりで気づくはずだ。サイモンは自分の記憶を探しているようで、実際にはゾーイの日常と罪の形を先に歩かされている。

【SILENT HILLTownfall】
【SILENT HILLTownfall】

効率よく進めるための実戦メモ

中盤以降、町は霧のショアフロント、医療センター、クララウッズ、CEGの施設、そして異世界化したSWPD(沖合の石油施設)へと広がる。戻る必要のあるアイテムが多いので、全部拾ってから次の区画へ行く癖をつけたほうがいい。

自分が二周目で短縮できたポイントだけ書く。

  • 板やパイプは耐久がある。雑魚を全部殴り殺す必要はない。通路を塞ぐ敵だけ処理し、残りはドアで分断する
  • クリニック周辺の敵は視界が狭い。しゃがんで車やカウンターの陰を使う
  • 中盤の医療センターでは、手術と輸血の手順パズルが出る。血液型と投与速度は、カルテとX線の指示をそのまま守る。勘で回すと失敗してループする
  • クララウッズ以降、ウィドウと呼ばれる抗議デモの残滓のような敵が増える。リチャード編ではショットガンが手に入るが、弾を全部使い切ると終盤が苦しい。スタンさせたら距離を取る
  • 最終盤の巨大な敵「ウェイト」は、最初は攻撃が通らない。音に異常に反応するので、正面衝突は即死に近い。後ろから接触しても体当たりになる。隠れて通過するのが正解
  • サイモンが自分の罪を認めたあとのウェイト最終形態だけは弱体化する。胸の点滴スタンドを3本抜く。のしかかりはボタン連打で離脱できる

収集を意識するなら、メール、留守電、ポスター、カルテを全部読む。Discoveriesはエンディング判定に直結する。初回から全部拾う必要はないが、「書類を読まずに進む」と正義側の結末には届きにくい。

逆に、撃破数を増やしすぎると Abandoned に固定される。目安として、60体を超えると収集をどれだけしても悪い結末側に寄る、という報告が多い。自分の初回は「見えた敵は殴る」癖でそのまま Abandoned になった。シリーズの悪い結末あるあるだ。

物語で起きていたこと

ここから先は本編の核になる。

1996年のセントアメリアは、疲弊した漁村だった。そこにチャップマン・エナジー・グループ(CEG)が進出し、本社機能と精製施設を置き、沖合のSWPD石油リグを支えた。町には仕事が戻り、住宅も店も増えた。住民の多くがCEGで食っていた。

そのリグで火災が起きる。95人が死ぬ。生き残ったのは、独立した安全検査官として現場にいたサイモンただ一人だった。

ゾーイは地元クリニックの看護師で、漂着したサイモンの救命手術を担当した。彼は本土へ搬送され、のちに心臓移植を受ける。その心臓と手術の手配を動かしたのが、CEGのCEOであるリチャードだ。

町は企業を責めた。安全を削り、不備を隠した、と。CEGは責任をリチャード個人へ押し付けた。追い詰められたリチャードはサイモンに取引を持ちかける。偽証してくれ。CEGにも自分にも落ち度はなかったと言ってくれ。その代わり、お前の命は助ける。

サイモンは一度、頷く。そして良心が追いついて、言葉を飲み込む。

ゲームのセントアメリアは、そのあとにできた煉獄に近い場所だ。三人は同じ霧の町を、それぞれの罪の形で繰り返し歩いている。サイモンは「状況を正せ」と言われて漂着する。ゾーイは助けられなかった患者と、見過ごせなかった人々の声を抱えて巡回する。リチャードは自分が建てた町の残骸を、まだ自分の成功だと言い張ろうとする。

CRTVに混ざる映像は、単なるヒントではない。1990年代のアナログ電波のように、記録と幻覚と他者の記憶が同じノイズに乗る。シリーズおなじみの異世界は、今回は赤黒い工業施設と、焼けただれた肉と、点滴とケーブルのイメージが強い。石油、医療、企業ロゴ、抗議のプラカード。個人の心象というより、町全体が飲み込んだ災害の残像だ。

ウェイトという敵は、サイモン自身の罪が歩いている。火傷のような皮に閉じ込められ、背中に巨大な心臓のような肉塊を背負い、皮の隙間からサイモンと同じ色の肌と目が見える。最初は刃が通らない。自分が何をしたかを認めたあとで、初めてスタンドを引き抜ける。止めは刺さない。頷いて、フェードアウトする。ここが本作の中心だと思う。殺して終わる話ではない。見て、認める話だ。

コラプスと呼ばれる巨大な存在は、直方体の石のような胴体から触手を伸ばし、フォールンを雨のように町へ落とす。直接のボス戦にはならない。町そのものが、いまも死体を降らせ続けている。

三人の立場

サイモンはアメリカ人の検査官で、日本語吹替は安元洋貴。寡黙で、自分の記憶より先に「正しさ」を求められる。シリーズの主人公らしい弱さを持っている。英雄ではない。取引に乗った人間であり、乗ったことを忘れようとした人間だ。

ゾーイは甲斐田裕子。献身的で、しかし自分の判断ミス(処方、聞き取り、退職)を書類の形で残している。彼女の章は日常の巡回から始まる。患者の家を回り、停電した町でナースコールに応える。ホラーというより、先に仕事がある。その仕事の延長に、サイモンの身体と町の崩壊が重なる。

リチャードは大塚明夫。声だけで十分に嫌な男に聞こえる。町を救ったつもりで、実際には町を買った人間だ。彼の章ではウィドウが集中して出てくる。服に犠牲者の写真を貼った、デモの残滓のような敵。リチャードと目が合うと逃げ、死角から刺してくる。企業が残した抗議を、本人の視界からしか見られない構造になっている。

ドクター・グレンはゾーイの上司で、手術パートの鍵になる。名前は大きくないが、医療現場の手順そのものが謎解きになるため、印象は残る。

【SILENT HILL Townfall】序盤の流れと
【SILENT HILL Townfall】序盤の流れと

クリーチャーの見方

名前と見た目だけ覚えるより、何の比喩かを見たほうが戦いやすい。

  • ランジャー:頭部が伐採斧と癒合している。ベルトで拘束された男の体。現場作業と暴力のイメージ
  • ソロウルフ:胸が裂け、点滴チューブが触手になる。医療と延命の歪み
  • フォールン:空から落ちてくる人型。大半は落下で死ぬが、死体に擬態して動き出す個体がいる。災害の「降ってきた死」
  • ウィドウ:風化した服に写真。抗議する側が、リチャードの視界では怪物になる
  • ウェイト:サイモンの心臓と罪悪。音に異常に敏感で、最初は無敵
  • コラプス:町を覆う巨大な生成源。個別の敵というより天候に近い

ステルスで抜けられる敵は抜ける。全部狩るとエンディングが寄る。逆に、必要以上に逃げるだけでも話は進む。怖さは戦闘回数より、CRTVのノイズと、誰の声かが分からない留守電のほうにある。

エンディングの中身と取り方

通常エンディングは3つ。判定は「撃破数」と「Discoveries(文書・手がかり)」の比較で、物語の途中分岐ではない。終盤のリチャードとの対峙の解釈が変わる。

Abandoned(見捨てる/悪化させる) 撃破数がDiscoveriesを上回る。60体を超えるとほぼ固定、という実測が多い。異世界でリチャードを殺す。現実では、サイモンがメスでリチャードの喉を刺す。取引を拒否するのではなく、相手ごと消す結末。初回で戦闘に寄った人はここに落ちやすい。

Justice(正義) Discoveriesが撃破を明確に上回る。60体未満が目安。異世界ではリチャードを殺さない。現実では、偽証を拒んだサイモンが、逆にリチャードに刺される。町のための証言を拒んだ代償として、自分の命を出す。トロフィー名は For St. Amelia。

Forever(永遠) 両者の数が近く、撃破が60を超えない範囲。リチャードを殺さず、意識を失い、ループの始点へ戻る。ゾーイが、災害直後のサイモンを手当てしているところから、また同じ霧が始まる。トロフィー名は Here To Stay。個人的には、本作の空気にいちばん正直な終わり方に見える。許しも罰も完了せず、町と三人はその場に居続ける。

秘密エンディングはニューゲームプラス限定。

Dog シリーズ定番の犬エンド。NG+でだけ出る3枚のコインを、案内犬募金の貯金箱に入れる。

  • 銅:Part1、Video Starの奥
  • 銀:Part4、クララウッズの裏庭から、コインランドリーの箱へ
  • 金:Part6、SWPD異世界の793号室周辺

ボス後、桟橋で対峙するはずの場面に犬の像が割り込み、話し合いで収めようとする。通常エンディングを上書きする。

Sci-fi 奇妙な本を3冊と、ホテルの記号扉で手に入る奇妙なアクセスカードを集める。終盤、点滴を外す赤い廊下のキーパッドにカードを通すと、最終ボスを飛ばして宇宙船の白黒スケッチへ落ちる。冷凍睡眠から目覚めたサイモンが、深宇宙へ向かう船にいる。シリーズの冗談として筋が通っているし、以降の周回で特殊な銃が残る。

全エンディングを見るなら、周回は2回で足りる。1周目は収集寄りでJusticeかForeverを狙い、クリア直前でセーブを分けて撃破数を調整する。2周目でコインと本を拾う。Sci-fiはボス前に分岐できるので、Dog用の通常クリアと分けやすい。

謎解きで詰まりやすい場所

難易度は高めに振ってある。ヒント機能はあるが、答えが一つに固定されている。自分が実際に止まったところだけ列挙する。

  • ゾーイ宅の電力。カードを「持っている」だけでは足りない。機械に通してクレジットを載せる
  • 薬局ロッカー。数字は部屋のポスターとCRTV映像の合成
  • 手術パートの投与速度とX線。医師の指示を原文のまま守る
  • ホテルの記号扉(Sci-fi用)。鳥→木→惑星→鳥→三つ脚の三角→衛星→衛星→魚→ロケット→惑星→犬→柱、の順
  • 終盤SWPDの遠隔システム。バルブと部屋番号を対応させる。621と793を開ける順序を間違えると戻ることになる

詰まったら、新しいアイテムを使わずに「さっき読んだ紙」を見直す。今作の暗号は、ほとんどが誰かの業務ミスか、企業の内部文書から出来ている。オカルトの呪文より、カルテと社内メールのほうが怖い。

遊び終わって残るもの

岡本プロデューサーが「社会派のサイレントヒル」と言っていた意味は、クリア後のほうがよく分かる。 culpable なのは一人の狂人でも、一人の母親でもない。安全を数値に置き換えた会社と、その数字に署名した検査官と、救命の現場で限界を超えた看護師と、町を買った男だ。1996年という設定も、インターネット前夜で、記録が紙とアナログ映像に残る時代だから成立している。今ならメールで消える類の責任が、CRTVのノイズとして町に焼き付いている。

一人称は正解だったと思う。手元の小さな画面を見ながら歩く感覚が、1990年代の携帯テレビそのもので、壁の向こうの敵を「映像として」確認する行為が、覗きと監視と自己観察を同時にやる。P.T.を思い出す人もいるだろうが、今作はもっと長く、もっと手続きが多い。電気を通す、血液を合わせる、カードを入れる。恐怖が生活の手順に溶けている。

不満もある。終盤はテーマが言葉になりすぎる。それまで紙と映像で匂わせていたものを、対峙の場面で説明しにいく。ステルスのルートも、一度覚えると緊張が薄れる。キャラクターの内側は、サイモン以外もう一段ほしかった、という感想は海外レビューとも重なる。それでも、霧の漁村を一人称で歩いた感覚と、心臓の取引というモチーフは残る。

自分の初回エンディングはAbandonedだった。見えたものを全部排除して進んだ結果、リチャードを刺して終わった。二周目で文書を拾い直してJusticeを見た。刺される側に回ったとき、取引を拒否する勇気と、拒否したあとに残る無力さが同時に来た。Foreverは、まだ見ていない人は最後に残したほうがいい。ループの始点に戻ったときのゾーイの手が、一番静かで、一番残酷だった。

セントアメリアはサイレントヒルという地名ではない。それでも、人が自分の町で起こしたことを、町の形で返される場所だという意味では、同じ霧の中にある。状況を正せ、と声は言う。正したあとに何が残るかは、撃破数でも収集数でもなく、最後にリチャードの顔を見て何をするかで決まる。

クリアした人は、一度タイトルに戻って収集リストだけ見てほしい。読まなかった社内文書が、だいたい自分のエンディングの理由になっている。

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