『サイレントヒル タウンフォールメタスコア』霧の島で何を見たか【SILENT HILL: Townfall】

サイレントヒル タウンフォールメタスコアを遊んで整理する霧の島で何を見たか【SILENT HILL Townfall】

2026年9月24日、シリーズ最新作『サイレントヒル タウンフォール』がPS5とPCで発売される。レビュー解禁から数日でメタスコアは81点前後に落ち着き、「概ね好評」という評価になった。『サイレントヒル2 リメイク』や『サイレントヒルf』ほど数字は高くない。それでも、霧の中を一人称で歩く感覚は、ここ数年のシリーズ復活作の中でもかなり独特だ。

この記事では、スコアの内訳だけをなぞるつもりはない。セントアメリアという架空のスコットランドの孤島を実際に歩いて、何が怖くて、どこで詰まりやすくて、どう進めると無駄が少ないのかを書く。戦闘より隠れる方が正しいゲームだし、ポケットテレビ(CRTV)の扱いを間違えると後半でかなり疲れる。そこを先に押さえておくと、初見の霧が少しだけ薄くなる。

この作品が何なのか

舞台は1996年のスコットランド。架空の漁村セントアメリア。主人公はサイモン・オーデル。港に打ち上げられた状態で目を覚まし、「状況を正せ」とだけ言われて町へ入っていく。眼鏡をかけた落ち着いた男で、日本語吹替は安元洋貴。声のトーンがこの町の湿った空気に合う。

従来作とのいちばん大きな違いは視点だ。シリーズ本編として、ほぼ全面的に一人称で進む。隠れる、覗く、ポケットテレビを顔の前に掲げて周波数を合わせる。その一連の動作が、三人称では成立しにくい。開発はグラスゴーのスクリーンバーン(旧No Code)。『Stories Untold』や『Observation』を作った少人数スタジオで、アナログ機器と物語の相性をよく知っている。プロデューサーは岡本基、脚本・監督はジョン・マッケラン。音楽はPilotpriest。エンジンはUnreal Engine 5。

価格はスタンダードが税込7,480円。デラックスにはアートブックとサウンドトラック、別衣装が付く。物語は独立しており、過去作の知識がなくても入れる。サイレントヒルという「場所」そのものではなく、罪と沈黙が形を変えて現れた別の町、という位置づけだ。

【SILENT HILL Townfall】
【SILENT HILL Townfall】

物語の骨格だけ先に書いておく。セントアメリアは漁業で細っていた島で、チャップマン・エナジー(CEG)の投資と沖合の石油リグによって一時的に息を吹き返した。そのリグで火災が起き、95人が死ぬ。サイモンは独立した安全検査官として現場にいて、唯一生き残った。島の診療所でゾーイ・エリスが彼を処置し、本土へ搬送される。住民の怒りは企業へ向かい、CEGのトップであるリチャード・ショーは責任を回避しようとする。サイモンは良心と取引のあいだで揺れ、その揺れが霧の町として再生される。ここから先の細部は、自分の目で拾った方がいい。

プレイヤーはサイモンだけでなく、途中でゾーイ、さらにリチャードの視点にも入る。道具も変わる。サイモンは手持ちのブラウン管テレビ、ゾーイはポケベル。同じ町でも、見える情報の解像度が違う。

メタスコア81の中身

発売直前の時点で、MetacriticはPS5・PCともに81点前後。OpenCriticは82点前後。否定レビューはほぼゼロで、肯定が8割、残りが「良いが欠点がある」という混在評価だ。『f』の86点や『2 リメイク』の86〜87点と比べると一段下がる。数字だけ見ると「前2作より弱い」となるが、中身はかなり違う作品なので、単純比較はあまり役に立たない。

高く評価されているのは次の点だ。

  • セントアメリアの空気。漁港、診療所、広場、廃れた店舗。1996年の英国の質感が細かい
  • 一人称にしたことで、霧と壁の向こうが本当に近い
  • CRTV。敵の位置、映像断片、パズルの手がかりを一台で担う
  • パズルの発想。単なる記号合わせではなく、登場人物の言い訳や記録と結びついている
  • 物語の題材。企業の責任回避、漁村の崩壊、生き残った人間の沈黙

逆に、点数を押し下げているのはほぼ共通している。

【SILENT HILL Townfall】序盤の流れと
【SILENT HILL Townfall】序盤の流れと
  • 中盤以降のステルスが単調になる
  • 敵の種類が少ない
  • 近接戦闘の手応えが薄い
  • 一部区間のパフォーマンス
  • 物語の提示が、シリーズ古典ほど遠回しではない

戦闘がシリーズの主役だったことは一度もない。今回も同じだ。問題は、隠れる行為そのものが後半で作業になること。レビューで「雰囲気は一流、ゲーム部分が足を引っ張る」と書かれる理由はそこにある。81点は「失敗作」ではなく、「狙いの半分は深く刺さり、半分は伸びきっていない」という数字に近い。

100点を付けた媒体もある。Digital SpyやNoisy Pixel、NME、Radio Timesなどだ。逆にVGCは6点台で、ステルスの繰り返しを厳しく見ている。同じ作品を遊んでも、隠れる作業を「緊張」と感じるか「手間」と感じるかで点数は割れる。自分は前者に近かったが、後半のウィドウが続く区間は正直長かった。

始める前に決めておくこと

オプションで戦闘難易度とパズル難易度が分かれている。ここを最初に触る。

戦闘は Story / Normal / Nightmare。パズルは Normal と Hinted。初見なら戦闘はNormal、パズルはHintedでもいい。Hintedは答えを出すのではなく、視線の置き場を少し教えてくれる程度だ。難解パズルを自分で潰したい人はNormalのままで問題ない。ただし序盤の施錠や写真解読は、CRTVの映像をよく見ないと詰まる。

操作で先に身体に入れたいのはこれだけだ。

  • L1でCRTVを掲げる。歩きながら使える
  • トリガーで周波数を送る。敵は一体につき一つの信号
  • R1+右スティックで物陰から覗く
  • 瓶やレンガを投げて注意を逸らす
  • 物置、戸棚、半開きのドアに潜る

ラジオの代わりがCRTVだと思っていると少し違う。音で近づきを知らせるだけでなく、壁越しにシルエットを出す。ただし一度に追えるのは一体だけ。複数いる部屋では、信号を一つずつ切り替えて頭の中で配置図を作る。チートにはならない。画面を見ているあいだ、自分の周囲への注意は落ちる。DualSenseの振動も信号に乗るので、PS5ならヘッドホンより本体の感触を優先した方がいい。

ゾーイ編ではポケベルになる。方向と距離のバーだけで、壁越し映像はない。サイモンより弱い。隠れる・待つ・逸らす、の比重がさらに上がる。

セーブはシリーズらしいアナログ寄りだ。見つけた場所を自分で使う感覚が残っている。探索した扉や行き止まりは地図に自動でメモされる。自分でマーカーを打つ必要はほとんどない。

序盤の進め方

最初は港だ。サイモンは何度も同じ岸に打ち上げられる感覚を持つ。記憶はない。町は無人に見えるが、休んではいない。

最初に拾うべきはCRTVだ。ホテル部屋や初期エリアで手に入る。手に入れたら、すぐ周波数をいじる癖をつける。敵用のチャンネルと、映像が流れるチャンネルは別物だ。映像信号は物語の断片で、実績にも関係する。全部で18本あるが、本編進行には必須ではない。とはいえ、パズルのヒントが映像側に乗っていることが多いので、電波が安定する場所では一度合わせた方がいい。

序盤の敵はランジャー。頭に斧が癒合した人型で、突進して頭突きしてくる。音に反応する。走ると足元がうるさい。コンクリートより芝や絨毯の方が安全、というほど単純ではないが、走らないことが基本になる。板やパイプで殴れるが、耐久は短い。2回戦うと折れる感覚でいい。銃は中盤以降に出てくるが、弾は少ない。リチャードが広場に残す箱の中に拳銃が入る。開いた瞬間に異界へ落ちる演出があるので、箱を開ける場所には注意する。

診療所(Shorefront Family Clinic)は序盤の拠点になる。ゾーイのストラップで入れる。外に敵がいるので、正面突破しない。中の天秤パズルは、ゾーイの所持品を「彼女が自分を責める言葉」の順に乗せる。

  • 聴診器(よく聴かなかった)
  • 処方ミスの記録(手元が狂った)
  • ストラップ(この仕事に向いていない)

この手のパズルが本作の核だ。オカルト記号ではなく、登場人物の自己弁護と自己嫌悪が物理パズルになっている。行き詰まったら、CRTVの映像とメモを先に読み直す。部屋の小物を全部調べてから組み合わせを考える方が早い。

地図上の「開かない扉」は、後から反対側で開くことが多い。無理に回り込まない。半オープンの町なので、目的地だけ見て直線で歩くと敵の巡回に当たる。建物の裏、車の陰、フェンスの切れ目を先に確認する。

効率よく進めるための実務

ここから先は、実際に何度か死んでから分かった運用の話になる。

敵は倒さない方が得をする。
エンディングの一部は、キル数と発見物(手がかり・文書)の差で決まる。発見物を多く拾い、キルを60未満に抑えると「Justice」寄りになる。キルが発見物を上回り、あるいは60を超えると「Abandoned」に寄る。差が小さいと「Forever」。初見で全部拾いながら必要最小限だけ倒すと、自然とJusticeかForeverに落ちやすい。コンプ目的なら2周目で調整すればいい。初週は隠れることを優先した方が、ゲームとしても気持ちいい。

CRTVは「地図」ではなく「方向」。
シルエットは距離感が粗い。壁の向こうにいる、階が違う、すでに通り過ぎた個体が残像で残ることもある。必ず覗きと組み合わせる。信号を合わせたまま歩き続けると、足元の段差や物陰を見落とす。数歩進んだら一度下ろす。

音の感度は敵によって違う。
ウェイトはドアの開閉音にも反応する。巨大な肉塊を背負った人型で、正面から接触すると押し潰されて即死する。攻撃は通らない。見つかったら逃げて隠れる以外ない。最終形態では弱体化し、点滴スタンドを引き抜くQTEが入る。通常個体の段階では戦わない。

ソロウフルは胸の裂け目から点滴チューブを伸ばす。距離を取られると厄介。フォールンは空から落ちてくる。大半は着地で死ぬが、死体に擬態している個体がいる。近づく前にCRTVで確認する。ウィドウはリチャード編に出る。服に犠牲者の写真が貼られ、木材を持っている。目が合うと逃げるが、死角から来る。ショットガンが使える区間でも、全部倒す必要はない。数を稼ぐとエンディングが固定されやすい。

** distractionは安くて強い。**
瓶、レンガ、ラジオ、据え置きテレビ。敵を一点に集め、反対側を抜ける。ゾーイ編ではこれが主戦術になる。戦闘向きの装備が薄いので、待ちの時間を惜しまない。

リソースは「次の安全地帯まで」で考える。
回復も武器耐久も余裕がない。今倒せるかどうかではなく、この部屋を無音で抜けられるかどうかを先に見る。板を温存して後半の狭い室内に持ち込むより、序盤で捨てて新しいのを拾う方が楽な区間もある。

探索の優先順位。
文書と手がかりはエンディングと理解の両方に効く。CCTVのスキャンなど別カテゴリの収集品はエンディング計算に入らない。時間がなければ文書を優先する。CRTVの映像18本は周回で持ち越せるので、初見で全部拾えなくてもいい。

パズル難度を上げている人向けに一つだけ。写真やカルテ、放送の文言がそのまま解になることが多い。「サイレントヒルらしい隠喩」を深読みしすぎると遠回りする。マッケラン自身、パズルは物語のヒントだと話している。部屋の主题(診療、計量、電力、監視)に沿った答えを先に疑う。

中盤以降で詰まりやすいところ

一人称の Semi-open は、方向感覚を失いやすい。霧が濃い広場では、看板と路面標示を覚える。英国のナンバープレート(前が白、後ろが黄)や、店舗のネオンの色がlandmarkになる。地図の自動メモを過信せず、自分が今どの街区にいるかを口に出して確認すると戻れる。

異界(Otherworld)への遷移は、箱を開ける、特定の信号を固定する、特定の部屋に入る、などで起きる。赤い空間に落ちたら、通常町と同じく「隠れて進む」が基本だ。ボス戦らしい大きな戦闘は少なく、ウェイト最終形態が実質的な山場になる。三点のスタンドを抜き、皮の隙間から自分と同じ肌と目を見る。そこでどう振る舞うかは、数字だけでなく物語の着地にも影響する。

パフォーマンスでフレームが落ちる部屋がある、という指摘はレビューでも出ている。特に霧と複数敵が重なる屋外。PS5 Pro向けの機能解説も公式から出ているが、通常版でも「止まった瞬間に見つかる」ことがある。走らず、覗いて、信号を合わせてから動く。このリズムを崩さない方が、フレーム低下より安全だ。

ステルスが作業になる区間は、無理に攻略速度を上げない方がいい。同じ巡回ルートを二周見て、隙間を一つ決めて抜ける。見つかって戸棚に入っても引きずり出されることがある。完全に視線が外れるまで待たずに飛び出すと、そのパターンに嵌る。

登場人物と町の読み方

サイモンは「生き残った検査官」であり、「証言を cond したかもしれない男」でもある。ゾーイは診療所の看護師で、助けることを止められない。リチャードは企業の顔で、事故の責任を個人に押しつける側だ。三人ともCRTV越しに言葉を交わす。画面のノイズが、嘘と本音の境界になっている。

クリーチャーは抽象化された罰というより、町の記憶の残骸に近い。ランジャーの拘束された両手、ソロウフルの点滴、ウィドウの写真、ウェイトの心臓のような肉塊、コラプスが空から落とす潰れた頭。リグの火災、搬送、抗議、隠蔽。それぞれの形に、誰かの仕事と誰かの死が張り付いている。図鑑を埋めなくても、見た瞬間に「これは誰の仕事だったか」を考えると、後半の文書が読みやすくなる。

1996年という年代は、家庭にパソコンとインターネットが入り始める直前だ。だから手持ちテレビとポケベルがまだ主役でいられる。アナログノイズを恐怖の媒体にする判断は、スクリーンバーンの前作ともつながっている。スタジオ名をScreen Burnに変えた理由も、ブラウン管に焼き付く残像と、記憶に焼き付くゲーム、その両方だという。

【SILENT HILLTownfall】
【SILENT HILLTownfall】

エンディングについて(ネタバレ注意)

ここから先はクリア後、あるいは回収目的の人向け。初見で雰囲気だけ味わいたい人は飛ばしていい。

通常エンディングは3つ。Justice、Forever、Abandoned。判定はキル数とDiscoveries(手がかり・文書)の比較で、会話選択肢ではない。

  • Justice:発見物がキルより明確に多い(目安として+20以上)、かつキル60未満
  • Forever:発見物がわずかに多い(+3〜5程度)、キル60未満
  • Abandoned:キルが発見物を上回る、またはキル60超

60キルを超えると、文書をどれだけ集めてもAbandonedに固定されやすい。ウィドウが多いリチャード編でショットガンを撃ちまくる人がここに落ちる。

New Game+限定の冗談エンディングが2つ。DogとSci-Fi。Dogは銅・銀・金のコインを3体の盲導犬募金箱に入れる。Sci-Fiは奇妙な本3冊とアクセスカードを使い、終盤のカードリーダーを操作するとボス前に終わる。シリーズらしい「犬」と「宇宙」が残っているのは、空気の重い作品だからこそ救いに見える。

どの結末が「正しい」かは用意されていない。正義を取りにいくほど町から出られるわけでもなく、沈黙を選べばループに近い場所へ戻る。数字の条件は機械的だが、中身は「どこまで見たうえで、どこまで手を下したか」という話になっている。

誰に向いていて、誰には向かないか

向いているのは、隠れて観察するのが苦にならない人、パズルで部屋の意味を読みたい人、1990年代の質感とアナログ機器が好きな人。『Observation』や『Stories Untold』を良いと思った人には、開発元の手癖がはっきり分かる。

向かないのは、戦闘の手応えを主目的にする人、テンポよく敵を処理したい人、視点の揺れとステルスの待ち時間で酔う人。『f』の戦闘比重がちょうどよかった人は、本作の中盤で速度が落ちたと感じやすい。

メタスコア81は、その分かれ目をかなり正直に反映している。雰囲気とパズルと舞台に点を積み、戦闘と反復ステルスで点を落としている。前2作の「復活の完成度」を期待して入ると、少し aut が残るかもしれない。逆に、「サイレントヒルを別の国の別の罪でやり直す」実験として見ると、81点でも十分に残るものがある。

自分は港の水の冷たさと、CRTVの色バーが映像になる瞬間がいちばん怖かった。怪物の形より、誰かが残した放送と、誰かが消した記録の方が長い。町を歩く速度を落とすほど、その記録は増える。急いでクリアするゲームではない。

霧は晴れない。それでも周波数を合わせ続ければ、少なくとも「何が消されたか」は画面に残る。それがこの作品の、いちばん実用的な進め方だと思う。

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