ブリガンダイン アビスをクリアして分かった評価と始め方

ブリガンダイン アビスをクリアして分かった評価と始め方

発売直後に本編を回して、最初の一勢力をクリアし、別勢力とミッションも触った。結論から言うと、盤面で勝てた瞬間の気持ちよさは本物だが、快適さと難易度の固定、物語の温度差で評価が割れやすい作品だ。買う前に知っておきたいことと、実際に詰まった点を中心に書く。

どんなゲームか

『ブリガンダイン アビス』は、メルティーテ大陸を舞台にしたファンタジーのウォーシミュレーションだ。シリーズとしては1998年の初代から続く流れで、前作『ブリガンダイン ルーナジア戦記』の延長にある完全新作にあたる。開発はアドグローブ、発売はハピネット。対応はPlayStation 5、Nintendo Switch 2、Xbox Series X|S、Steam。価格は通常版9020円、Limited Editionが18480円。CEROはB。オンライン対戦はない。

ブリガンダイン アビスまず覚える六人のリーダー
ブリガンダイン アビスまず覚える六人のリーダー

物語の起点は単純だ。200年前、偉大な魔術師ルナディアが造った魔術の鎧「ブリガンダイン」によって、大陸支配を狙ったアビスローア帝国は潰えた。それから時が流れ、大陸一の強国ソルジュナート王国で宰相ケイオスルスが謀反を起こす。古の侵略国家の名を冠した「新生アビスローア帝国」が立ち上がり、周辺へ侵攻を始める。プレイヤーは大陸に残る6つの勢力のうち1つのリーダーとなり、騎士とモンスターで部隊を組んで抗う。

ゲームの骨格は2層になっている。

  • ストーリーモード:6勢力から1つを選び、おおむね30節の中で自国の決着をつける
  • ミッションモード:24か国から選び、国ごとに違う勝利条件で戦う

公式はやり込みで200時間超と謳っている。1キャンペーンあたり15〜30時間くらいが目安で、6本全部とミッションまで回すと確かに長く遊べる。戦闘は高低差のあるHEX(六角形)マップのターン制。編成フェイズで拠点を整え、攻撃フェイズで出撃する。リーダーが落ちるとその部隊は撤退する。前作を知っている人には馴染みやすいが、高低差と「支援」「展開」が加わって、盤面の読みは一段細かくなった。

ユニットは100体を超える。リーダーとモンスターを組み合わせ、統率コストの範囲で部隊を組む。属性、射程、地形効果、ZOC(周囲マスの足止め)、反撃、支援特性が同時に動く。ゴリ押しも、ただ待つだけの膠着も、こちらが無策だとAIは許してくれない。

遊んで感じた評価

先に総合的な印象を置く。戦略シミュレーションとして「考える快感」はしっかりある。広いHEXで敵の中央部隊を横から潰し、リーダーを落として部隊ごと消した瞬間は、このジャンルをやる理由そのものが出る。支援で移動力を足したり、属性を寄せたり、高所から射程を伸ばしたりと、ハマったときの気持ちよさは前作より明確だ。

一方で、発売直後の評判が荒れている理由も体感できる。難易度は途中変更できない。イージーでも油断すると負けるし、ノーマルは序盤から何度か詰まる人が出る。メニューが多く、カーソルが意図したマスに乗らない感覚も報告されている。PCは推奨がRTX 2060クラスで、ターン制にしては要求が高めに見える。体験版時点では30fps固定への不満があり、開発側は60fps切替を入れると応えていた。ゲームの中身が空っぽというより、快適さとバランスの調整が発売日に完全には追いついていない印象がある。

物語は勧善懲悪寄りで分かりやすい。帝国という巨悪に、6つの国がそれぞれの理由で抗う構図は掴みやすい。ただ、「隣国と戦う必然」が薄いと感じる場面もある。戦争シミュレーションとしては部隊と拠点の運用が本体で、キャラドラマは入口によって温度が違う。ピュリファーノのようにコミカルで賑やかな国もあれば、パンデミュオンのように出自そのものが重い国もある。全部を同じ密度で期待すると、当たり外れが出る。

グラフィックは前作よりアニメ調に寄った。顔は見やすく、戦場のジオラマ感は残っている。河野純子氏とニジハヤシ氏のキャラデザ、近藤嶺氏の音楽、声優陣(内田雄馬、鈴代紗弓、速水奨、古賀葵、鬼頭明里、山下大輝ほか)はしっかりしている。Limited Editionには伝統遊び「16むさし」のアクリルスタンドセットまで入る。中身の戦略と、周辺の作り込みの温度は一致していない部分もあるが、シリーズらしい「国を率いる感覚」は残っている。

自分の中での評価はこうだ。HEXの戦争シミュレーションが好きで、編成と盤面を考える時間が苦にならない人には十分おすすめできる。逆に、快適さやテンポ、途中の難易度変更、物語の熱量の均一さを求める人は、体験版で手触りを見てから決めた方がいい。9020円に対して量は多い。問題は量ではなく、最初の10時間で「もう一回配置をやり直したい」と思えるかどうかだ。

6つの勢力と最初の選び方

ストーリーモードの入口は6つ。雰囲気も戦い方も違うので、最初の一周はここで決まる。

ブリガンダイン アビスまず覚える六人のリーダー
ブリガンダイン アビスまず覚える六人のリーダー
  • グラン・ドラグニカ:ラルゴォ(CV:内田雄馬)。ドラゴンテイマー。荒野の互助組織に近い勢力。帝国に奪われ洗脳された竜を救うために立つ。体験版でも遊べる。序盤の理解に向く
  • スカーレットウィル:ガーネット(CV:鈴代紗弓)。ユニコーンと共に大陸を駆ける正義の傭兵団。父を討たれ、民を守るために戦う。こちらも体験版あり。人と獣の距離感が分かりやすい
  • ミスティアイン:ザイルザート(CV:速水奨)。ルナディアが拓いた小国の大将軍。女王を守る盾として、呪詛を背負いながら帝国に抗う。シリーズの歴史に一番近い入口
  • ピュリファーノ:アリスベル(CV:古賀葵)。大森林の妖精の隠れ里。記憶と安息の地が軸。支援の理解が進んでから選ぶと戦い方がしっくり来る
  • サムラ族:サヤ(CV:鬼頭明里)。東方孤島の武力集団。内通者の気配と故郷の異変を抱え、戦線の切り方が他国と違う
  • パンデミュオン:TYPE-F(CV:山下大輝)。禁忌のキマイラ化研究から生まれた少年兵が、帝国へ反旗を翻す。6勢力の中でいちばん異質

迷ったら体験版で触ったグラン・ドラグニカかスカーレットウィルから入るのが無難だ。世界の表層(竜、民、傭兵、奪われたもの)を先に体で覚えた方が、あとからアリスベルの記憶やTYPE-Fの出自、ザイルザートの呪詛が刺さる。ピュリファーノは「支援が分かってから」、パンデミュオンは「一勢力クリアしてから」でも遅くない。

難易度は途中で変えられない。ファイアーエムブレムやFFT、前作ルーナジア戦記を普通にクリアできるならノーマル。メニューと相性表を見ながら考えたいならイージー。イージーでもバフ・デバフと属性を無視すると負ける。歯応えを消したイージーではない。自信がなければイージーで始めるのが正しい。

初心者が最初に覚えること

最初に覚えるべきは「強いユニットを前に出す」ではない。リーダーが落ちたら部隊ごと消える、という一点だ。前衛が厚くても、リーダーが突出して集中砲火を浴びればそこで終わりになる。

戦場で最初に見るのは次の4つ。

  • 敵リーダーの位置と属性、射程
  • 高低差。高所は射程と見通しに効く。低地から無理に登ると移動を食われる
  • 通路と障害物。柵や狭いHEXはZOCで塞げる
  • 自軍リーダーの退避ルート。落ちない配置が先、火力は後

配置の型は短い。

  • 前衛:HPの厚い近接。ドラゴン系やゴーレム系。通路を塞ぎ、ZOCで足を止める
  • 中衛:リーダー本人。突出させない。壁の後ろか高所か、回復が届く位置
  • 後衛:射程と回復、補助。支援対象になるモンスターをここに置くことが多い

支援は今作の核だ。リーダーが部隊内のモンスター1体を指定し、その特性を部隊へ乗せる。公式でも例が出ている。

  • ドラゴン:移動力+1
  • ピクシー:ターン開始時にMPを5%回復
  • デーモン:自軍が黒属性になる代わりに魔法防御が下がる

全部を毎戦闘で最適にする必要はない。序盤は「移動を足す」「回復を安定させる」の2系統だけ覚えれば足りる。展開は、現代戦でいう輸送とスキルの重ねに近い。位置取りとセットで使う。

属性相性は表を開いて確認する癖をつけた方がいい。見た目の強さより、相手の色を潰せる編成の方が勝率が安定する。反撃が自動で入るので、厚い前衛を置いて殴らせる運用も成立する。ただしAIは tail を巻いて tail を取ってくる。待ちだけだと囲まれる。

編成フェイズで優先したいのは3つ。

  1. 主力リーダーの生存手段(回復、退避、護衛用の前衛を同じ部隊に置く)
  2. 拠点を守る最低1部隊を残す
  3. 戦闘に出さないリーダーを探索へ出す

探索に出したリーダーはその節の戦闘に出られない。空き拠点を取られると収入も戦略拠点も一気に崩れる。攻めたい気持ちより先に、「家を守る部隊」を固定する。

序盤の効率的な進め方

ストーリーは大陸制覇が必須ではない。30節の中で自国の決着をつける。全部取るより、必要な拠点を必要な節までに取る方が強い。

最初の10節の型はこう置いている。

ブリガンダイン アビス共通チャート:30節をどう区切るか
ブリガンダイン アビス共通チャート:30節をどう区切るか
  • 1〜2節:隣接する守りやすい拠点と道を取る。非戦闘リーダーを探索へ。新しい契約は最小限
  • 3〜7節:主要拠点をレベル2以上へ。主力リーダーの統率を上げ、モンスターを4体前後まで安定させる。有利属性を1セット用意する
  • 8〜10節:イベント戦に備える。ここで無理な遠征をすると、防衛が薄くなって詰む

資金の使い順は practically この順が安定する。

  1. 撤退した主力の復帰
  2. 拠点のレベルアップ(探索と能力に効くもの)
  3. 行商での装備
  4. 新しいモンスター契約
  5. 余った分で拠点開発の拡張

全部を毎節やろうとすると時間が溶ける。序盤は「主力を死なせない」「収入源を落とさない」の2点だけでいい。レベルは意外と伸びる。イージーならお金も入りやすいので、復活費用への恐怖はかなり減る。逆にノーマルは、1回の壊滅が次の節まで響く。上げられないならその節は守りに回し、被害を最小にする判断も必要になる。

拠点開発は探索効率と部隊能力に効く。全部最大にしなくていい。自分がよく出すリーダーの系統と、よく取る地形に寄せる。行商は「今の前線で足りない耐性と射程」だけ見る。見た目の強い武器を全部買うと資金が死ぬ。

経験値はイベント戦と防衛戦で自然に入る。無理な周回より、生き残った部隊を次の節に連れていく方が早い。倒されたユニットの復活にお金がかかる仕様なので、「勝つ」より「残す」を優先した方が中盤が楽になる。

戦場で勝つための実戦ポイント

実際に詰まった盤面から逆算すると、勝ち筋はほとんど同じだった。

全軍を同じ方向に出さない。一翼に寄せて数的有利を作る。左翼の援軍が着く前に片翼を潰せれば、戦況は一気に傾く。中央突破は見た目が気持ちいいが、高低差のあるマップでは横からの切断の方が強い。

リーダー狩りを恐れすぎない。こちらも同じルールで動いている。敵リーダーの属性と射程を見て、前衛で囲み、支援で移動か属性を乗せて落とす。部隊ごと消える快感は、こちらが先に仕掛けると出る。

ブリガンダイン アビス 攻略|最初の国と難易度の決め方
ブリガンダイン アビス 攻略|最初の国と難易度の決め方

地形破壊と障害物は忘れやすい。柵を壊して通路を開く、あるいは残して敵の進路を絞る。試遊や序盤で「正面からぶつかって負けた」と感じた人は、だいたいここを見ていない。高低差は移動コストだけでなく、射程と攻撃の通りにも効く。高所を取られたまま殴り合うと、数字以上に削られる。

オートバトルと戦闘演出はオプションで切れる。演出を残すとテンポが落ちる。長丁場になる作品なので、自分の許容できる速度に最初に合わせた方がいい。倍速は便利だが、カーソル精度と視認が落ちる環境もある。パッドよりマウスの方が楽、という声は自然だ。Switch 2や据え置きでも、最初の数戦で操作感を確認した方がいい。

ミッションモードは24か国それぞれに勝利条件がある。ストーリーで型を作ってから入ると、国ごとの顔つきが楽しめる。最初からミッションだけ回すと、物語の文脈なしで戦争理由の薄さを感じやすい。順番としてはストーリー1本 → 気になった国のミッション、が無駄が少ない。

気になった点と向き不向き

正直に書く。

良い点は、盤面のカタルシス、6つの入口の顔の違い、支援と高低差による読みの深さ、量の多さだ。国を率いて節を送り、探索と防衛と遠征を同時に回す感覚は、キャラ単位のSRPGとは違う満足がある。イージーでも緊張感が残る設計は、初心者を馬鹿にしていない。

気になる点は、難易度の固定、操作と視認、最適化、物語上の戦争理由の温度差だ。Steamの初期評価が厳しいのは、中身が空っぽだからではなく、快適さとバランスが評価の前面に出てしまっているからだと思う。メディアの先行プレイが「手応えと遊びやすさの両立」と書いたのも嘘ではない。両方とも本当で、どちらが前面に出るかは環境と気質で分かれる。

向いている人は次のような人だ。

  • HEXの位置取りと属性を考えるのが好き
  • 編成フェイズの作業を苦にしない
  • 1キャンペーン20時間前後を許容できる
  • 前作や国盗りSLGの「部隊ごと消える」感覚が分かる

向いていない人は次のような人だ。

  • 途中で難易度を下げたい
  • メニューとカーソルの精度にすぐ疲れる
  • 毎戦闘の情報量で消耗する
  • 戦争の必然が薄いと物語に乗れない

体験版はグラン・ドラグニカとスカーレットウィルが第2節まで遊べる。本編へ引き継げるかは環境で確認してほしい。体験版で「もう一回あの配置をやり直したい」と思えたなら、本編の長さは苦になりにくい。逆に、一戦闘の情報量で疲れたなら、9020円と200時間の看板は重い。

Limited Editionは「16むさし」の盤面とアクスタ、画集、サントラ、特装BOXが付く。ゲームそのものの評価とは別枠の趣味だ。盤面はマウスパッドにもなる、という話もある。本体が欲しいだけなら通常版で足りる。

まとめ

『ブリガンダイン アビス』は、ゴリ押しも待ちも通さない骨太なファンタジーSLGだ。高低差と支援が加わり、盤面の読みは前作より細かくなった。6つの本編と24のミッションで、量は確かに多い。帝国に抗う構図は分かりやすく、国ごとの顔つきも分かれている。

同時に、難易度の固定、操作と視認、最適化、物語の温度差は発売時点で無視できない。戦略の核は強い。快適さが追いつくかどうかは、パッチと自分の環境次第になる。

最初の一周はこう置くと失敗が少ない。

  • 国はグラン・ドラグニカかスカーレットウィル
  • 難易度に自信がなければイージー
  • 家を守る部隊を先に決める
  • リーダーを突出させない
  • 一翼に寄せて数的有利を作る
  • 資金は復活と拠点を先、新規契約は後

クリア条件は大陸制覇ではなく、30節の中で自国の決着を付けることだ。全部を完璧に回そうとしない方が、この作品はうまくいく。盤面でリーダーを落として部隊が消えた瞬間だけは、評価が割れていても残る。その快感が欲しい人には、まだ十分に薦められる一作だ。

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