(レビュー)亰都ザナドゥは面白い?クリアして分かった評価と序盤の進め方

(レビュー)亰都ザナドゥは面白い?クリアして分かった評価と序盤の進め方

発売直後から「ファルコムらしい」「隠れた良作」「続編前提で損した」と評価が分かれている『亰都ザナドゥ -桜花幻舞-』。東亰ザナドゥから約11年、舞台を首都・亰都に移して作り直された完全新作だ。私も発売日から通常難易度で本編をクリアし、その後修羅道と交流コンプまで触ったうえで書いている。

結論から言うと、京都の空気と学園生活、2D探索の気持ちよさは本物だ。一方で終盤の密度とエンディングの切り方には、はっきり不満が残る。買う前に知りたかったこと、序盤で損しない進め方、実際にプレイして変わった評価をまとめた。

まずはゲームの全体像

日本ファルコムのデュアルディメンショナルARPG。対応はSwitch 2/Switch/PS5/Steamで、2026年7月16日発売。価格は通常版7920円、Switch 2 Editionが8070円。CEROはC。

舞台は「東京ではなく亰都が首都であり続けている現代日本」。四条、祇園、商店街、加茂川あたりをモチーフにした街並みが、観光写真ではなく生活の場として置かれている。主人公の神矢伶は、裏社会から大金を持ち出したあと異界に巻き込まれ、双刀の装魂霊具に目覚める。適格者だけが入れる比良坂学園へ転入し、地下に広がる比良坂大迷宮――いわゆるザナドゥ――の攻略に加わる、というのが導入だ。

亰都ザナドゥ 攻略ガイド|比良坂大迷宮を迷わず進める実践
亰都ザナドゥ 攻略ガイド|比良坂大迷宮を迷わず進める実践

東亰ザナドゥを知っている人向けに言うと、世界観の骨格(適格者、装魂霊具、ネメシス、怪異)は引き継いでいるが、街もシステムもキャラもほぼ一から組み直されている。前作をやっていなくても話は通る。逆に、前作の「杜宮市の高校生アクション」をそのまま期待すると、2D横スクロール探索に面食らう。

1日の流れはざっくりこうなる。

  • 学園で授業・訓練・交流
  • 放課後に亰都を散策して食事・買い物・スポット発見
  • 依頼を受けてザナドゥへ潜る
  • 2Dで階層を進み、門を開くと3Dボス戦
  • 帰還して報酬と貢献度を受け取り、パラメータを伸ばす

ペルソナ系のカレンダー+イース/メトロイドヴァニア寄りの探索、という組み合わせに近い。ただしカレンダーの圧迫感はペルソナほど強くない。授業を全部完璧にこなさなくても本編は進む。

クリア時間の目安は、会話を読みながら本編だけなら30時間前後。スキップ多めなら20時間台。交流・収集・修羅道・凶夢まで含めると50時間を超える。Steam実績は49個。クリア後に凶夢(防御がほぼ意味をなさない高難度)が追加された。

序盤で知っておくべき基本

最初の数時間でつまずきやすいのは「何を優先すればいいか分からない」ことだ。街も学園も迷宮も同時に開くので、全部触ろうとしてAPとお金が尽きる。

序章が終わると智・勇・仁の初期配分を決める質問イベントがある。勉学寄りなら智、体を動かすなら勇、人と関わるなら仁、といった感じ。後から授業と散策で十分調整できるので、ここで悩む必要はない。やり直しも序章クリア直後なら可能。

序盤の優先順位はこれでいい。

  • 比良坂学園の施設を一通り調べ、依頼は受けられるだけ受ける
  • 礼拝堂が解放されたら優先してレベルを上げる(式霊符の上限が上がる)
  • 訓練場で強撃の段階を上げる
  • 街では食事スポットを先に発見する。店内食事はパラメータ、テイクアウトは迷宮内の回復・バフになる
  • ザナドゥでは無理に全宝箱を取らず、階層門までの道と邪神像(ギミック解除)を優先する

属性はキャラごとに違う。伶は汎用寄り、仲間加入後は弱点属性に合わせて操作キャラを切り替えるのが基本。2Dパートは近接と射撃が両方使えるので、「接近できない敵は射撃で削る」「ギミックは属性弾」と割り切ると早い。

難易度はいつでも変えられる。初めてなら通常かやさしめが無難。物語重視は戦闘がかなり楽になるので、ストーリーと街歩きが目的ならそれでいい。修羅道は被ダメが大きく、一閃(ジャストガードからのカウンター)を安定させないとボスが重い。凶夢はクリア後専用と考えた方がいい。

お金は思ったより減る。食事、施設利用、装備強化、テイクアウトが全部かかる。迷宮素材を売れば回るが、序盤は「全部の店をコンプしよう」としないこと。焼肉食べ放題のような高額スポットはパラメータが伸びるので、余裕が出てからで十分強い。

効率よく進めるための実戦tips

中盤以降、差がつくのはAPの使い方と式霊・行動カードの更新だ。

授業は全部同じ価値ではない。礼拝堂は式霊レベル上限と行動カード解放に直結するので、解放されたら優先度が高い。訓練場は攻撃技の段階と勇経験。智と仁は散策・交流・特定授業で伸ばしやすい。パラメータは戦闘そのものより「依頼報酬・交流解放・一部イベント」に効くので、偏らせすぎない方が後が楽。

亰都ザナドゥ 攻略ガイド|比良坂大迷宮を迷わず進め
亰都ザナドゥ 攻略ガイド|比良坂大迷宮を迷わず進め

ザナドゥ探索のコツは次の通り。

  • 霊遺鏡(ワープ・再開点)は見つけ次第共鳴する。上層の鏡を後回しにすると、五層で往復が地獄になる
  • 邪神像は「今すぐボスへ」より先に周囲を一周してから。解放ルートが増える
  • 幻素中毒ゲージが溜まったら無理せず帰還する。無理押しして全滅するより、素材を抱えて戻った方が得
  • 2Dではコンボとオブジェクト破壊も評価に入る。雑魚を雑に倒さず、射撃→近接の流れを作るとドロップと評価が安定する
  • 3Dボスはターゲット固定を忘れない。カメラが暴れるのは仕様に近いので、ロックして一閃のタイミングだけ見る

一閃は今作の爽快感の中心だ。受付時間は難易度で変わる。通常でも慣れるまでガード偏重でいい。ソウルアクセルはボス戦の決め技枠。温存しすぎてゲージを余らせるより、フェーズ切り替えで使い切った方が速い。

仲間操作は「自分が動かすキャラ以外は火力期待しすぎない」が正直なところ。弱点属性のキャラに切り替えて自分で殴る方が安定する。AIは削り役、本体は操作キャラ、と考えた方がストレスが少ない。

街散策は「発見」が大事。一度調べたスポットは以後利用できる。加茂川、商店街、祇園の料亭、書店、ジム、ホビー店まで、実在の京都を知っている人ほどニヤリとする作りだ。グルメの作り込みは電撃のレビューでも何度も触れられている通りで、ただの回復アイテム以上の意味がある。ステータス目的なら店内、迷宮用ならテイクアウト、と使い分ける。

交流は譚歌抄と奇縁小噺が本体。全員最大まで上げなくても本編はクリアできるが、キャラの見え方がかなり変わる。終盤に人が増えるので、中盤までにメインメンバーの交流を厚くしておくと、後から「誰だこの人」となりにくい。

周回は一部引き継ぎがある。装備・式霊・一部進行を残して修羅道や凶夢に入る想定だ。1周目で全コンプを狙う必要はない。取り返しがつかない要素は「特定日限定の交流・ことのは・一部スポット」程度なので、気になる人だけ攻略サイトの日付表を横に置く程度でいい。

実際にクリアして分かった評価の分かれ目

良い点から書く。

世界観と街の密度は今作最大の武器だ。首都・亰都という設定のおかげで、観光地の京都コピーではなく「住んでいる都」になっている。放課後に焼肉へ行く、和菓子を買う、歌舞伎の看板を見る、コトブキヤ的な店に寄る、といった行動がパラメータや会話に繋がるので、散策が作業になりにくい。ファルコムの現代ものが「学園の中だけ」で終わらないのが大きい。

主人公の伶がうまい。抜け目なくて、使える手は使い、それでいて年相応の隙間がある。軌跡の主人公たちを足して割ったような印象を持つ人もいるが、実際に会話を重ねると伶単体のクセが残る。先行レビューで9点が付いていた理由の一つは、この主人公の立ち位置だと思う。

2D探索は発表時に「退化では」と言われたが、プレイするとテンポがいい。東亰ザナドゥの3D市街探索が苦手だった人には、むしろ今作の方が入りやすい。ギミックも属性も過剰ではなく、横スクロールとして読みやすい。3Dボスとの切り替えも演出込みで気持ちよく、1粒で2度おいしい感覚はある。

音楽とバトル中のヴォーカル演出は、ファルコムらしい熱量がある。迷宮のBGM変化が物足りないという声もあるが、ボス戦の盛り上げ方はきちんと仕事している。

問題点もはっきりしている。

終盤の人物増加と説明不足は、複数のクリアレビューで共通する。中盤までは顔と役割が追いやすいのに、終盤で設定の重い人物が一気に出て、一枚絵と短い会話で処理される印象が残る。世界観の重さに対して、語り方が追いついていない。

エンディングは「ここで終わるのか」となりやすい。第5話表記のまま本編が閉じ、続編を意識した切り方だ。伏線を回収しきらずに終わるので、1本で完結を求める人には減点が大きい。Steamレビューでも「続編ありきで評価が落ちる」という書き方が目立つ。

3D戦闘の深さは人による。一閃とソウルアクセルが決まると気持ちいいが、仲間AIの貢献が薄く、ボスパターンも「覚えて弾く」以上の層が少ない。メトロイドヴァニアとして見ると敵の種類とルートの自由度は控えめ、という辛口も妥当だ。

予算の見え方も否定しにくい。再利用、イベントの見せ方、一部施設の簡素さは、軌跡最新作やイースと比べると見えてしまう。フルプライスで「軌跡と同じ密度」を期待すると外れやすい。一方で、その制約の中で街と食事と2D探索を優先した判断は一貫している。

亰都ザナドゥ 攻略ガイド
亰都ザナドゥ 攻略ガイド

総合すると、メディア先行は電撃が9点前後、海外批評は80〜87点台、SteamはMostly Positive。プレイヤー側は「隠れた良作」「85点前後の惜しい良作」「セール待ち」に分かれる。私の感覚は後者に近い。30時間の本編としては十分面白い。フルコンプ前提の神ゲーかと聞かれると、少し言葉を選ぶ。

向いている人は、京都の空気が好きな人、学園日常とダンジョンを同じ作品でやりたい人、2Dアクションのテンポが好きな人、東亰ザナドゥを「システムは好きだがマップが辛かった」と思っていた人。向かない人は、1作完結の厚いストーリーを求める人、3Dアクションの深度だけを見たい人、カレンダー管理そのものが嫌いな人。

まとめ

亰都ザナドゥは、発表時の「2Dに戻したザナドゥ」という印象より、遊んだあとの「放課後の亰都を歩くゲーム」という印象の方が強い。食事も授業も迷宮も、バラバラに見えて一つの生活リズムになっている。そこが今作の核だ。

評価を一言でまとめるなら、序盤〜中盤は期待以上、終盤と締め方で点数を落とす佳作、になる。神ゲー宣言をするほど完成度が揃っているわけではないが、2026年夏に埋もれさせるほど弱い作品でもない。通常難易度で本編を一度通す価値はある。修羅道や凶夢、交流コンプは「もっと居たい人」向けの延長だ。

買うなら、続編を待つ前提で今の本編を楽しめるかどうかだけ先に決めた方がいい。そこを飲み込めるなら、四条を歩き、祇園で食事し、地下の樹海を横スクロールで切り開く時間は、ちゃんと残る。

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