『80億分の1攻略』で何度も生まれてわかった、少しだけマシな選択の仕方

『80億分の1攻略』で何度も生まれてわかった、少しだけマシな選択の仕方

最初にこのゲームを開いたとき、ただ面白そうだと思って始めた。ブラウザで無料、会員登録も不要で、すぐに「生まれる」ボタンを押せる。ところが、終わったあとに画面を閉じてからも、しばらく頭の中に残っていた。どこかで生まれた誰かの人生を最後まで見届けたあとで、「自分は運が良かっただけかもしれない」と思わされる経験は、わりと珍しい。

『80億分の1』は、世界のどこかにランダムに生まれて、0歳から最期までを体験する人生シミュレーションだ。生まれる国も、親の経済状況も、性別も選べない。国連やWHO、世界銀行などの実際の統計データをもとに、病気や収入、教育機会、寿命などが確率で決まっていく。プレイヤーが選べるのは、進学や仕事、恋愛、治療、資産の使い方といった、人生の節目に出てくる選択だけだ。

この記事では、何度かプレイしてみて感じたことと、選択によって少しでも結果が変わりやすそうなポイントを、できるだけ具体的にまとめる。完璧に「攻略」できるゲームではないし、むしろ完璧に攻略しようとすると味が薄くなる部分もある。それでも、ただ眺めるだけではなく、何を優先したときにどうなりやすいかを知っておくと、プレイの質が変わる。

ゲームの基本的な仕組み

公式サイトは「1in8b.life」で、日本語対応している。起動すると、生まれる世界の種類を選ぶ画面が出る。「いまの世界」「過去の世界」「これからの世界」「どの世界でも」の4つだ。いまの世界を選べば現在の統計が最後まで続く。過去の世界では当時のデータを使った歴史の中で生きることになるし、未来の世界では国連の予測などを参考にした架空の未来になる。

次に、国の決め方を選ぶ。「いま生まれている赤ちゃん」なら年間出生数の割合で国が決まり、「いま生きている80億人」なら人口割合で決まる。どちらを選んでも、自分で国を指定することはできない。インドやナイジェリア、パキスタンといった出生数の多い国に生まれやすく、日本やヨーロッパの国に生まれる確率はかなり低い。

人生の長さも最初に選べる。平均寿命が短い国なら30分程度、長い国なら1時間半近くかかる設定がある。途中で速度を変えられるので、最初は普通の速度で進めて、慣れてきたら倍速にするのが無難だ。5歳、15歳、30歳、50歳、70歳くらいのタイミングで一度止まるチェックポイントがあり、その時点での感想を一行残せる。

プレイ中に表示される主な数値は「健康」「幸福」「知識」「人間関係」の4つだ。これらは選択によって上下するが、生まれた環境や運の影響が大きい。努力すれば必ず上がるという単純なものではない。同じ1秒に生まれた他の4人の人生も横で進んでいて、自分の選択とは関係なく別の道を歩んでいる。

終わったあとは、その人生の要約が出る。仕事や家族、死因などが淡々と並び、共有用のカードも作れる。有料の「思い出パス」を買えば、より詳しい記録やアルバムのような形で残せる機能もあるが、基本的に無料で十分遊べる。

『80億分の1攻略』で何度も生まれてわかった
『80億分の1攻略』で何度も生まれてわかった

初めてのときの進め方

最初の一回は、設定をほとんど変えずに「いまの世界」で始めてみるのがおすすめだ。国の決め方は出生数ベースにしておくと、統計通りの分布でいろんな国に生まれやすい。速度は普通か少し早めにして、最初の15歳くらいまでは丁寧に選択した方がいい。

生まれた直後は、名前や家族構成、住んでいる場所の雰囲気がテキストで出てくる。この段階ではまだ大きな選択は少ない。乳幼児期に病気が出ることもあり、そのときは治療を選ぶか、お金がないから諦めるかといった分岐が出る。ここで「治療を選ぶ」と、その後の健康が少しマシになりやすい傾向があるように感じた。ただし、家族が貧しい場合は借金が増えたり、別の問題が出たりするので、完全に無リスクではない。

5歳を過ぎると、毎年「今年の重点」を選ぶ場面が出てくることが多い。勉強を頑張る、家の手伝いをする、外で遊ぶ、といった感じだ。知識を上げたいなら勉強寄りを選び、人間関係を大事にしたいなら家族や友人との時間を選ぶ。どちらが正しいというより、その子の置かれた環境でどれだけ実現可能かによる。

学校に関する選択は特に重要だ。進学できるかどうかは、国と家庭の経済状況で大きく制限される。近隣に学校がなかったり、学費が払えなかったりして、進学を選んでも叶わないケースが普通にある。その場合は無理に押し通そうとせず、働き始める選択を早めに取る方が現実的な場合もある。逆に、少しでも教育機会があるなら、なるべく長く通う選択をしてみた方が、後の仕事の選択肢が広がりやすい印象を受けた。

年齢ごとの選択で意識したいこと

幼少期から青年期にかけては、健康と知識のバランスが効いてくる。病気が出たら、できるだけ病院に行く選択をする。民間療法や放置を選ぶと、後々悪化して寿命が短くなりやすい。これはプレイヤーの多くが指摘しているポイントで、先進国に住んでいる感覚で「病院に行く」を選びやすいからこそ、途上国生まれでも比較的長生きしやすくなっている側面がある。

仕事に関しては、安定した職を選べるなら安定を取る方が無難だ。起業や転職で大きく稼ごうとする選択肢も出てくるが、失敗したときのダメージが大きい。特に貧困世帯からスタートした場合、借金が増えやすい。一方で、ある程度の収入が見込める環境なら、スキルを上げるような仕事や、少しリスクを取った選択で後々の収入が増えることもある。

恋愛や結婚の選択は、人間関係の数値に直結する。良い相手と出会ったタイミングで付き合う・結婚する選択をすると、幸福や人間関係が上がりやすい。ただし、相手の経済状況や性格もランダム要素が大きいので、毎回うまくいくわけではない。子どもを持つかどうかの選択も出てくるが、ここは慎重に考えた方がいい。子どもが増えると支出が増え、特に収入が不安定な場合は生活が苦しくなりやすい。

『80億分の1攻略』
『80億分の1攻略』

資産に関する選択は、意外と奥が深い。ある程度お金が貯まってきたタイミングで、「預金にする」「株や債券に分ける」「不動産を買う」といった選択肢が出てくることがある。全部を株式に突っ込まず、分散した方が危機のときにダメージが小さくなる。ゲーム内でも、経済危機や不況のイベントが定期的に発生し、そのたびに資産の動きがメッセージで出てくる。

中年期以降は、健康を維持するための選択が重要になってくる。運動をする、酒やたばこを控える、定期的に検診を受ける、といった地味な選択を続けた方が、晩年の生活の質が上がりやすい。仕事をいつまで続けるかも悩ましいところで、無理に働き続けると健康が落ちるが、早く引退しすぎると収入が細って困るケースもある。

効率的に「少し良い人生」を目指すコツ

完全に運を無視することはできないが、同じような境遇で何度か試してみると、ある程度傾向が見えてくる。

まず、マイナスを避けやすい選択を優先する。

  • 犯罪や危険な組織に関わる選択肢は基本的に避ける
  • 酒やたばこ、ギャンブルに手を出す選択は、短期間の幸福が上がっても長期的に健康と資産を削ることが多い
  • 病気が出たら、お金が多少きつくても治療を選ぶ
  • 人間関係で「無視する」「喧嘩する」系の選択より、「話す」「助ける」系を選んだ方が後々楽

次に、知識と収入の関係を意識する。教育を受けられる環境なら、なるべく学歴を伸ばす。中卒や小学卒業で終わってしまうと、その後の仕事の幅が狭くなりやすい。ただし、紛争や経済的な理由でどうしても進学できない場合は、早めに安定した仕事を探して経験を積む方が良い場合もある。

資産形成については、余裕が出てきたら分散を意識する。現金だけだとインフレや物価の影響を受けやすいし、全部をリスク資産にすると不況のときに大きく減らす。株と債券を半々くらいにする選択をしたプレイヤーが、危機を比較的しのぎやすかったという話も出ている。

人間関係は、数字上の幸福だけでなく、晩年の孤独を避ける意味でも大事だ。配偶者がいる、子どもがいる、友人がいる、といった状態だと、老後のイベントで「一人で過ごす」系のネガティブが減りやすい印象がある。ただし、無理に結婚したり、子どもをたくさん持ったりする必要はない。相性の悪い相手と無理に続くより、関係を整理した方がいいケースもある。

速度設定も意外と重要だ。最初から最高速にすると、選択のタイミングを見逃しやすい。特に重要な分岐(進学、大きな病気、結婚、大きな投資)は速度を落として確認した方がいい。おまかせモードも便利だが、最初のうちは自分で選んだ方が、何が効いているのかわかりやすい。

境遇別の現実的な考え方

貧困度が高い国・家庭に生まれた場合、まず生存と健康を最優先にした方がいい。教育を諦めざるを得ないケースも多いので、その場合は「働きながら健康を維持する」「危険な仕事を避ける」「酒やギャンブルに逃げない」といった、地味な積み重ねが後の寿命や生活の安定に効いてくる。ここで「先進国プレイヤーの感覚」で無理に大学進学を目指すと、失敗して余計に苦しくなることもある。

中間層くらいの家庭に生まれた場合は、教育と仕事の選択の幅が広がる。ここで知識を伸ばしつつ、人間関係も維持できると、後々の幸福が上がりやすい。資産が少しずつ増えてきたら、早めに分散投資の感覚を入れておくと、晩年に余裕が出やすい。

比較的恵まれた環境に生まれた場合は、選択肢が多い分、何を優先するかで差が出る。仕事で大きな成功を狙うか、家族や友人との時間を大切にするか、健康維持を徹底するか。どれを取っても「正解」にはなりにくいが、全部を同時に最大化しようとすると中途半端になりやすい。

同じ瞬間に生まれた他の4人をたまに見てみるのもおすすめだ。自分は頑張ったつもりでも、別の誰かはもっと厳しい環境で短い人生を終えている。逆に、自分より恵まれた環境でさらに良い結果を出している人もいる。この比較が、ゲームをただの数字遊びで終わらせない部分だ。

プレイする上で気をつけたいこと

このゲームは、重いテーマを扱っている。子どもの死、戦争や紛争、貧困による選択の制限、病気の悪化、といった内容が統計に基づいて出てくる。15歳以上向けとされているのもそのためだ。もし途中で気分が悪くなったら、無理に続けなくていい。

また、結果を「成功」か「失敗」かで判断しすぎない方がいい。学歴が高くて収入が多くても、人間関係が薄くて晩年が寂しい人生もある。逆に、収入は少なくても家族に囲まれて比較的穏やかに終わる人生もある。ゲームの数字だけを見て「これが正解」と決めつけると、かえって楽しめなくなる。

何度もプレイすると、同じような選択をしても結果がかなり変わることに気づく。それは、ゲームがランダム要素をしっかり入れている証拠でもある。完全に同じ人生を再現しようとしても難しいので、毎回「今回はこういう人として生きてみる」くらいの気持ちで進めた方が、かえって色々な発見がある。

まとめ

『80億分の1』は、ただの人生シミュレーションというより、統計の数字を一人の人間の人生として体感するためのゲームだ。生まれる場所は選べないし、選択したからといって必ず望んだ結果になるわけでもない。それでも、病気のときに治療を選ぶ、危険を避ける、人間関係を大事にする、余裕ができたら資産を分散する、といった選択を積み重ねると、同じ境遇の中でも少しだけ結果が変わりやすい。

何度かプレイしてみて感じたのは、運が大きな部分を占めている一方で、選べる範囲の中で何を優先するかは、自分次第で変えられるということだ。完璧な人生を目指すというより、「この環境で、この選択をしたらどうなるか」を試してみるくらいの気持ちで遊ぶと、ちょうどいい。

終わったあとに残る感想は人それぞれだと思うが、少なくとも「自分の人生も、どこかで誰かがランダムに生まれて生きている人生の一つに過ぎない」という感覚は、わりと多くの人が共有しているようだ。興味があれば、まずは一回、何も考えずに最後まで生きてみてほしい。意外と、その一回だけで十分に何かが残る。

SNSでシェアする(Share)

Similar Posts

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *